牛乳は身体に悪いか?良いか?

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以前から言われていたことですが、急に話題になりだしたきっかけは、元オセロの松嶋尚美さんがテレビ番組(2015年7月7日放送)「中居正広のミになる図書館」でで、「子供には牛乳を飲ませない」と発言したことがきっかけです。当時子どもが幼さなくて、食生活には気を使っていたのでしょう。

彼女は牛乳を飲ませない理由は、

・牛乳を飲むことで体内のカルシウムが尿と一緒に排出される。

・乳製品を多くとっている国は骨粗鬆症にかかりやすい人が多いというデータがある。

彼女の発言の根拠は、ミリオンセラーを記録した外科医である新谷弘実氏の著書「病気にならない生き方」(サンマーク出版)ではないかと思われます。

本を読んでみると、

・牛乳を飲むことでカルシウムが補給されるのではなく、身体のカルシウム量を減らす。

・牛乳を飲みすぎると、飲骨粗鬆症になる。

・牛乳を多く飲む米国や北欧の世界4大酪農国は股関節骨折と骨粗鬆症が多い。

・牛乳を学校給食に取り入れたころから日本では、アトピーや花粉症の患者が急増している。

などが書かれています。

これに対して、

牛乳乳製品健康科学会議は、新谷弘実氏に科学的根拠がないのではないかと、公開質問状を出している。

牛乳乳製品健康科学会議とは、医学や栄養学などの学識者らで構成する団体である。

これに対して、

新谷弘実氏は回答書で「臨床医としてこれまで何十万件以上の症例を見てきたが、腸相(新谷氏が独自に呼ぶ人相に対して、腸の中の状態の善しあしを例えた造語)の悪い患者の共通点が、乳製品をはじめとする動物性タンパク質の多量摂取だったと反論しています。しかし、新谷弘実氏個人の意見科学的根拠はなくお粗末な意見といえます。

これら、牛乳乳製品健康科学会議と新谷弘実氏とのやりとりはすべて公開されているので、誰でも閲覧できます。

また「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」 を運営している 、明治大学科学コミュニケーション研究所は、世の中に出回る疑似科学を検証していているのですが、「牛乳有害説」についての検証結果をサイトにアップしています。

新谷弘実氏は牛乳は有害であると発言する一方で、酵素サプリメントやコーヒー浣腸など、エビデンスもはっきりしていないものを健康療法として推奨している面もあると、辛口の検証結果を発表しています。

牛乳は身体に悪い説に幕が下りたと思われたが、そうはならずに未だに噂されています。

これには、

10万部のベストセラー「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事である」の著者「津川友介氏」の存在があります。ハーバード大学の研究者たちは、乳製品の積極的な摂取を勧めるエビデンスはないと、否定しているのです。

「津川友介氏」 は内科医で、ハーバード大学で統計学を学んだ専門家です。アメリカ農務省(日本では、農林水産省のようなもの)では、乳製品は健康に良いと主張し、摂取することを推奨しています。しかし、「乳製品の積極的な摂取を勧める理由がない」と主張しているのです。

前立腺がんは乳製品の取りすぎ

乳製品を取りすぎていることが、前立腺がんの原因ではないかと、2015年に「アメリカ臨床栄養学会誌」 に発表されたことです。内容は、80万人を対象として研究されていて、1日の乳製品の摂取量が400g増えていくごとにリスクが7%上昇するという結果を元に示されています。

また、この研究では牛乳だけではなくて、低脂肪乳、チーズなどのどのような乳製品をとってもリスクが上がるとされています。

卵巣がんのリスクも13%上昇している!

また、卵巣がんのリスクも牛乳を1日1杯多く飲むごと13%もリスクが上昇するとことが示された研究もあるようです。

出典元は、国際がん学会誌に掲載された論文ですが、(Larsson SC, Orsini N, Wolk A. Milk, milk products and lactose intake and ovarian cancer risk: a meta-analysis of epidemiological studies. Int J Cancer. 2006; 118(2):431-441) 乳製品が一概にすべて悪いと結論づけているわけではありません。

ヨーグルトを多く食べる人は、糖尿病の発生率が低くなることを研究した論文もあります。

成長期の子どもには、乳製品が必要だという意見もありますし、高齢者になるほど、タンパク質の摂取が必要だとされていて、積極的に摂取するように推奨しているということもあります。

1日の上限量は?

牛乳に含まれる、ラクトース=乳糖を消化吸収するためには、ラクターゼという消化酵素が必要です。しかし、遺伝的に少ないか全くないことから、牛乳を飲むと下痢をしたりアレルギー症状を発症する人がいます。

そのような人は牛乳を飲まない方が良いし、飲めないでしょう。しかし、遺伝的に飲めないのではないなら、牛乳が体に悪いとは断言できません。

津川氏によると、ハーバード大学の研究者たちによる考えでは、牛乳は1日1~2杯、ヨーグルトは170~450グラムまでを上限として摂取する分には問題ないと言います。

前立腺がんや卵巣がんに関する論文からは、リスクがある大人の場合は、牛乳などの乳製品は控えめにした方がいいと考えるの妥当というところでしょう。

Grandma

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